株式会社行雲
野外教育

野外教育

アウトドアでの活動や自然体験を通じた教育の提供と、"発見"の場の創出。

自然の中での体験から”気付き”や”学び”を得ていく「野外教育」は、生きる力を育成するだけでなく、私たちの感性を大きく育む教育手法です。

山や海に身を置くことで自然の偉大さに包まれ、キャンプ生活の中で他者と出会う。「野外 = outdoor ≒ 自分の外」には、想像を超えた発見や意図しないものとの出会いが広がっています。それは、いつもと違うものの見方に出会うチャンスであり、五感を通じて直接的に私たちの心を揺さぶる体験です。

弊社は次の4つの理論や考え方を大切に、山や海、川などフィールドを問わず、「キャンプ」や「旅」を手法とした教育・研修事業を行っています。

Awe体験 – 大自然の中で人は謙虚になる –

一般的に、山や海などでアウトドア・アクティビティに取り組む人々は心が広くて穏やかな人が多い印象があります。その理由は、弊社が自然の中で教育を行う理由の一つでもある「Awe体験(オウ体験)」にあることが近年の脳科学の研究で明らかになってきました。

Awe体験とは、大自然に接した時に「自分はなんてちっぽけな存在なのだろう」と感じる体験のこと。この体験が脳を活性化させると同時に、人々に謙虚な気持ちを抱かせ、他者を思う気持ちが強まることが分かっています。(参考:岩崎一郎『科学的に幸せになれる脳磨き』サンマーク出版,2020.)

たとえば樹齢数百年の大木に触れてみる。遡上する鮭の姿に遠いアラスカの海を思う。すると、いつの間にか自分の存在は小さくなり、素直な心で他者や世界と接することができるようになるのです。

遊び – 安心できるから夢中になれる –

野外で思い切り活動するために、「遊び」に夢中になれる条件を弊社は次のように考えています。

  1. 「できそう」と「できない」の間で心が揺れるくらい、遊べる隙間(遊隙)があること
  2. 遊隙を自由に反復できること(遊動)
  3. 安全が担保され、安心感を持って挑戦できること
    (参考:西村清和『遊びの現象学』勁草書房,1989.)

ロープがあるから安心して岩を登ることができるように、安全を担保するスタッフがいることが通常の外遊びと野外教育の違いであり、野外教育の現場では普段以上に思い切って遊びに夢中になれるのではないかと自負しています。

ブリコラージュ – 今あるもので、おもしろく –

自然や他者は、自分の思い通りに動いてくれることはありません。どんなに計画を立てたとしてもその通りには進まないのが自然体験やキャンプの大変さであり、面白さでもあります。だからこそ、今あるものを寄せ集めてその状況を面白く作り上げていく力が大切であり、これを「ブリコラージュ」と呼びます。(参考:クロード・レヴィ=ストロース『野生の思考』みすず書房,1976.)

対比される概念である「エンジニアリング」は、計画や設計図に従って物事に取り組む力として等しく重要ですが、それだけでは生まれない価値があると弊社は考えます。

食材が限られていたら、小麦粉と水を混ぜてピザを作ってみる。チーズやケチャップがないなら、マヨネーズをソース代わりにしてみる。野外という不自由な環境だからこそ、その時、その場所、そのメンバーで、新しいものや面白い体験が生まれていきます。

異化 – 当たり前を問い直す –

「異化」とは、非日常的な体験を通じて、日常生活における当たり前を当たり前でなくすること。それにより、新しいものの見方ができるようになったり、普段とは違う角度から物事を考えられるようになります。

自然体験やキャンプ生活は、非日常的な体験の連続です。自分を取り囲む環境、流れている時間、関わり合う人々、全てが日常とは違う状況の中で生きることで日常を相対化でき、自己のあり方・生き方を問い直すことができることでしょう。